主観的空想日記

適当に書いてます。

キャバレー

「キャバレー」

 1976年公開

 監督 ボブ・フォッシー

 

1931年のベルリンが舞台である。スターになりたいアメリカ人の女(ライザ・ミネリ)と、列車でベルリンにやって来た男子学生(マイケル・コーク)が出会う。ナチスが台頭する混沌とした街で、2人がくっつき離れていくまでを描いている。

ナチスが台頭~」なんて書いているが、別に全てが暗いということではないのだ。ライザ・ミネリとマイケル・コークはとっても楽しそうだし、キャバレー内のシーンはハレンチでエネルギッシュでとっても陽気だ。ユダヤ人の男女は幸せそうに結婚している。この映画は、血生臭く・暴力的・お先真っ暗で悲観的だが、同じくらい楽天的である。

とりわけ楽天的なものは、ライザ・ミネリの微笑む横顔である。素敵な横顔は、劇中数回観れる機会がある。それは歌って踊るミュージカルの場面ではなく、誰かとハグをする時である。ハグの瞬間、ライザ・ミネリの目鼻立ちした、けばい化粧で塗りたくった横顔が、底抜けて明るい微笑みを浮かべた横顔になるのだ。この顔を観ていると、暗い世相や心配事なんて忘れてしまいそうである。

そんな顔が真っ暗ななかに輝いている。素敵な映画である。